インフルエンサーが意味ない本当の理由——フォロワー数より大事な「たった1つの資産」

インフルエンサーが意味ない本当の理由——フォロワー数より大事な「たった1つの資産」

「インフルエンサーになれ」という圧力はなぜ生まれるのか。フォロワーが増えても売上が増えない構造、例外になる人、小さなビジネスが代わりに積み上げるべき「たった1つの資産」と今週からの発信の設計図を書きました。

もしあなたが、こんな感覚を持っているなら。

「発信しなきゃ」と思いながら、投稿するたびに少しずつ疲れていく、、、とか。フォロワーが増えた日は嬉しいのに、売上を見ると何も変わっていない、、、とか。そもそも自分は、インフルエンサーになりたいわけじゃなかったはずなのに、と思っている。

そういう感覚があるなら、この記事は役に立つと思います。

インフルエンサーについては、これまでに2本の記事を書きました。「インフルエンサーはいらない。仕事を取るのに向かない3つの理由」と、「インフルエンサーが意味ない時代に、それでも売れる人は何をしているのか?」です。

ただ、書きながらずっと引っかかっていたことがあるんです。

なぜ、こんなに多くの人が「インフルエンサーにならなきゃ」と思い込んでいるのか。

向いていないと分かっていても、やめられない。そこには理由があるはずです。今回はその「圧力の正体」から始めて、代わりに何を積み上げるべきかを、1つに絞って書きます。

「インフルエンサーになれ」という圧力の正体

まず、前提を揃えさせてください。

「発信しろ」「フォロワーを増やせ」と言っている人は、誰でしょうか。

少し思い出してみてください。SNSで、動画で、セミナーで、そう言っている人たち。ほとんどの場合、その人自身がインフルエンサーなんです。

私はここで「あれ?」と思いました。

インフルエンサーとして成功した人が、「インフルエンサーになれ」と言う。これは、宝くじに当たった人が「宝くじを買え」と言っているのと、まったく同じ構図じゃないでしょうか。

当たった人の声は大きい。外れた人は、何も言わずに静かに去っていく。だから、私たちの目には「当たった人」ばかりが映るんです。

しかも、もう1つ厄介なことがあります。

SNSの中では、フォロワーが多い人の投稿ほど、目に入りやすい。つまり、私たちが毎日見ている「成功例」は、そもそも偏った標本なんですよね。

これが、圧力の正体だと思っています。

誰かがあなたに「なれ」と命じているわけじゃない。見えている景色が偏っているから、それが「普通の道」に見えてしまう。それだけなんです。

フォロワー数が増えても売上が増えない構造的な理由

では、なぜフォロワーが増えても、売上は増えないのか。

ここは精神論ではなく、構造の話です。

インフルエンサーというのは、何を売っている商売でしょうか。

投稿を見る人の「注目」です。集めた注目を、企業に広告枠として売る。あるいは、注目をそのまま自分の商品に向ける。どちらにしても、注目の量が売上の元になっています。

一方で、あなたの商売はどうでしょうか。

コンサルティング、講座、制作、士業、店舗。こういう仕事は、注目の量ではなく「信頼の深さ」で売れます。大勢に薄く知られているより、少数に深く信じられているほうが、契約は取れる。

売り物が違うんです。

なのに、注目を集める商売のやり方を、信頼で売る商売に持ち込んでしまう。ここにズレが生まれます。

たとえば、こんな人がいたとします。

毎日投稿を続けて、フォロワーが増えてきた。反応もそこそこある。でも、そのフォロワーの中で、あなたのサービスを買える立場の人は何人いるでしょうか。同業者、学生、なんとなく面白いから見ている人。そういう人がほとんど、ということは珍しくありません。

フォロワー数が数えているのは「見かけたことがある人」です。売上を決めるのは「頼みたいと思っている人」の数です。この2つは、別の数字なんです。

しかも、フォロワーはあなたのものではありません。

表示するかどうかを決めるのは、プラットフォームです。昨日まで届いていた人に、今日は届かない。これは、こちらではどうにもできない。

これ、他人の土地に家を建てているのと同じ構図じゃないでしょうか。どれだけ立派な家を建てても、地主の都合で立ち退きになる。

インフルエンサーモデルが機能するのはどんな人か

ここまで読むと「じゃあ全部ダメなのか」と思われそうなので、例外をはっきり書いておきます。

インフルエンサーモデルが、ちゃんと機能する人はいます。

1つ目は、注目そのものが商品になる人。

タレント、芸人、ゲーム実況者、エンタメ系の発信者。この人たちは、見てもらうこと自体が仕事です。注目を集めて、それを広告や出演料に変える。売り物と手段が一致しているので、フォロワー数がそのまま売上に近づきます。

2つ目は、誰にでも当てはまる安い商品を持っている人。

たとえば、数千円の本や日用品を売っているとします。買う人の属性を選ばず、価格の壁も低い。こういう商品は、知られた人数がそのまま買う人数に近づきます。広く薄く届けるやり方が、商品と合っているんです。

3つ目は、すでにお客さんがいて、その人たちへの「近況報告」として発信している人。

これは順番の話です。先に信頼があって、あとから発信を乗せる。この順番なら、発信は資産の上に建つ家になります。以前の記事の追伸に「インフルエンサーになるなら、後からでも大丈夫」と書いたのは、この意味です。

逆に言うと、この3つのどれにも当てはまらないなら、、、その道は回り道になりやすい。私たち、小さなビジネスの多くは、ここに入ると思っています。

小さなビジネスが代わりに積み上げるべき「資産」とは

では、代わりに何を積み上げるのか。

私の答えは、1つだけです。

「あなたから連絡していいですよ」という、お客さんからの許可。

これです。

もう少し具体的に言うと、メールアドレスを預けてもらうこと。LINEでもいいし、住所でもいい。形は何でもいいんですが、大事なのは「あなたから、相手に、届けられる」という状態です。

フォローとは、まったく違います。

フォローは「見かけたら見るかもしれない」という関係です。届くかどうかは、プラットフォームが決める。

許可は「あなたが送れば、相手の手元に届く」という関係です。届くかどうかを、あなたが決められる。

この差が、時間が経つほど効いてきます。

うーん、地味ですよね。分かります(笑)。フォロワー数のように、誰かに自慢できる数字ではありません。

でも、考えてみてください。

明日、SNSのアカウントが凍結されたとします。フォロワーで積み上げてきた人は、その瞬間にゼロに戻ります。

一方で、許可を集めてきた人は、明日も同じ人たちにメールを送れる。何も変わらない。

どちらが資産か、ということなんです。

他人の都合で消えないもの。自分で増やせて、自分で使えるもの。私が「資産」と呼ぶのは、こういうものです。

具体的な行動:今週から変えられる発信の設計図

では、発信そのものをやめるのか。

そうではありません。発信の「向き」を変えるんです。

これまでの発信は、こういう設計だったと思います。

投稿する → フォローされる → いつか買ってもらう。

これを、こう変えます。

投稿する → 連絡先を預けてもらう → 届け続ける → 相談される。

変わったのは、真ん中の一段だけです。でも、この一段があるかどうかで、発信の意味が変わります。

今週からやることを、3つだけ書きます。

その1。預けてもらう「理由」を1つ作る。

「登録してください」だけでは、誰も連絡先を預けてくれません。預ける側にも、理由がいります。

たとえば、あなたのお客さんがよく迷うことを、チェックリストにまとめる。判断の基準を一枚にする。よくある質問への答えをまとめる。印刷して5分で役に立つもの。それを「欲しい人はこちらへ」と差し出す。これが理由になります。

その2。投稿の最後を、その理由につなげる。

投稿の内容はこれまでどおりでいい。ただ、最後の一行だけを変えます。「いいねしてください」ではなく、「詳しくまとめたものがあります」という形にする。

投稿は、それ自体が目的ではなく、許可をもらうための入り口になります。

その3。預けてもらったら、週に1通、届ける。

10人でも、3人でも構いません。その人たちに、役に立つ話を週に1通送る。売り込みではなく、役に立つ話です。

これを続けると、相手の中であなたは「たまに見かける人」から「毎週届く人」に変わります。相談されるのは、後者なんです。

まとめ:インフルエンサーではなく「名簿を持つ人」になれ

インフルエンサーになる道が悪いわけではありません。

ただ、注目で売る商売と、信頼で売る商売は、別のものです。そして、私たちの多くは後者なんです。

後者の人が積み上げるべき資産は、フォロワー数ではなく、「あなたから連絡していい」という許可の集まり。名簿と言ってもいいと思います。

フォロワーは借り物です。名簿は、あなたのものです。

では、明日から何をするか。

まず、あなたのお客さんが「決める前に迷うこと」を1つ書き出してください。それをA4一枚のチェックリストにする。きれいでなくていいんです。

次に、今週の投稿の最後の一行を、「いいね」のお願いから「まとめたものがあります」に変えてください。

最後に、連絡先を受け取る場所を1つ用意してください。フォームでも、メールでの返信でも構いません。今日は0人でいい。受け皿がなければ、預けたくても預けられませんから。

フォロワーが増えるかどうかは、正直、私たちにはコントロールできません。

ただ、預けてもらった連絡先に届け続けることは、今日からできることなんです。

西埜巧祐

西埜巧祐

マーケティングコンサルタント/セールスコピーライター

西埜巧祐(にしのこうすけ、埼玉県出身、法政大学理工学部卒)は、日本のダイレクトレスポンスマーケティング/セールスコピーライティング/AIを活用したマーケティング・セールス・ビジネス成長の専門家。株式会社Earnestness 代表取締役。セールスライターとして約10年にわたって活動し、1,000人以上に指導。Dan Kennedy 著『売るプレゼン』監訳。著書に『AIライティングの教科書』『AI化の教科書』がある。

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