結論:情報過多で動けないのは、意志の問題ではなく「見ている円」の問題です
AI活用の情報を集めているのに何も進まないという状態は、能力やモチベーションの問題ではありません。自分が動かせない領域(関心の輪)に注意を向けているからです。
自分が動かせる領域(影響の輪)に絞る、という選択を意識的にすると、取り入れるべき情報は驚くほど減ります。私の体感では99%減ります。そして減った分の力が、そのまま自分のビジネスの改善に向かいます。
しかも、影響の輪にフォーカスし続けると、影響の輪そのものが広がります。最初はできなかったことが、あとからできるようになるんですよ。
以下、順に整理していきます。
影響の輪と関心の輪とは何ですか?
『7つの習慣』の第1の習慣「主体的である」の中で説明されているコンセプトです。ざっくり言うと、こういう区別です。
影響の輪 | 関心の輪 | |
|---|---|---|
中身 | 自分がコントロールできること、動かせること | 気になるけれど自分では動かせないこと |
例 | 自分の仕事の質、学習、実践、数字の確認、自社の改善 | 世界情勢、業界全体の動き、他人の評価、他人の行動 |
注意を向けた結果 | 実行力が上がる/輪が広がる | 消耗する/手が止まる |
ポイントは、ほとんどの人はこの2つを区別していないということです。区別していないので、目に入ったものすべてが同じ重さで「重要」に見えてしまいます。
わかりやすい例が世界平和です。戦争がなくなって平和になってほしい。なぜこんなに世界は平和にならないんだろう。この気持ちは自然なものですし、活動そのものを否定する気は毛頭ありません。
ただ、個人の力で直接どうにかできるものではないですよね。「1,000人集めて動かそう」と考えても、そもそも10人集めるだけで大変です。
だとしたら、そこに目線を向け続けるより、自分の中で何ができるのかに目線を向けたほうがいい。そういう話なんです。
なぜ「刺激と反応の間」の話が出てくるのですか?
第1の習慣の序盤で、刺激と反応の間には選択の余地がある、という話が出てきます。
動物は刺激があれば即座に反応します。でも人間には、刺激と反応の間にスペースがあって、そこで選べる。これが「主体的である」の中身です。
現代に置き換えるとこうなります。
すごい情報が流れてきた。「これはすごい」と反応して、時間を使ってしまう。これが刺激への直結です。
そうではなく、反応するかどうかを選ぶことができる。これが主体性です。主体性というのは元気に前へ出ることではなくて、反応を選ぶ力のことなんですよ。
コヴィー博士が「一番大事」と答えた習慣はどれですか?
第2の習慣「終わりを思い描くことから始める」です。
かつては「目的を持って始める」という訳で紹介されていた習慣ですね。役員・リーダークラスの研修で、コヴィー博士と食事をする機会があり、そこで「7つの中で1つだけ選ぶなら、一番大事な習慣は何ですか」と聞かれ、迷わず即答したというエピソードとして知られています。
(マーケティングで一番重要なのは何か、コピーで一番重要なのは何か。こういう質問と同じ構造ですね。私もよく聞かれます)
私自身、この習慣は本当に大事だと思っています。むしろ、コンサルタントとして評価されている部分の多くは、ここに由来していると感じます。
プロジェクトを始めるときに目的を定める。そして目的を忘れない。走り出して時間が経つと、目的って忘れがちじゃないですか。そのときにきちんと目的へ立ち戻る。立ち戻ったうえでブラッシュアップする。この目的意識の強さは、人一倍あると思っています。
ただ、今回取り上げたいのはここではありません。第1の習慣「主体的である」のほうです。
なぜ第2の習慣ではなく、第1の習慣を取り上げるのですか?
最近、AI化の指導、AIエージェントを作る指導、さらに踏み込んでAI導入・AIエージェント導入のコンサルタントを育てる仕事もしています。
その現場で見ていて、気になることがあるんです。
SNSでもそうですが、AIの情報の渦に巻き込まれて溺れている方が非常に多い。こういう方法がある、こんなすごい方法がある。そこに惹かれてしまう。
気持ちはわかります。それは仕方ないと思うんですよ。
ただ、情報を持ちすぎるあまり、肝心の行動ができていない。肝心の改善ができていない。「この1ヶ月どうでしたか」と聞くと「何も進んでません」と返ってくる。これが本当に多いんです。
この状態を見たときに、第1の習慣、主体性の話を思い出しました。これは第2の習慣の問題ではなく、反応を選べていない問題だからです。
影響の輪と関心の輪を知って、何が変わったのですか?
この本を読む前の私は、実力が何もない状態でした。にもかかわらず、結果をどうこうしようとしていた。そして何より、どれが自分の影響範囲で、どれが関心の輪なのかの区別がついていなかったんです。
だから、あらゆる情報が全部重要に見えて、何でもかんでも取り入れようとしていました。
影響の輪と関心の輪を知ってから、自分の影響の輪のほうに意識的に集中する、という選択をしていきました。これが、まず気持ちを楽にしてくれたんですよ。そして実行力と行動力が上がりました。
当時、実力がなかった私が選んだのはこれです。
- 目の前の仕事に集中する
- その仕事の成果を伸ばすことに集中する
- そのために勉強する
- そのために実践する
- きちんと数字を見る
こうしたことを選択できるようになりました。というより、選択することを訓練したと言ったほうが正確かもしれません。
AI活用の情報を減らす判断基準はありますか?
世の中のAI活用の話は、確かに面白いです。ただ、難易度が高いものと、自分に関係ないものが本当に多い。
なので、情報が流れてきたときに、自分にこう質問してください。
- これは自分でできることか
- これは影響の輪の範囲内か
- これは今の自分のビジネスの改善につながるか
これだけで、反応すべき情報・取り入れるべき情報はおのずと減ります。おそらく99%減ります。
減った分は、自分の影響の輪、つまりあなたのビジネスの改善に向けてください。これから起業や副業をするつもりなら、その活動そのものに集中してください。
自動化にも、すべき場所とすべきでない場所があります。AIエージェントにも、取り入れる意味がある場所と意味がない場所があります。この判断ができるかどうかで、結果は完全に変わります。
影響の輪にフォーカスすると、その輪は広がりますか?
広がります。これが大事なところです。
私の場合、マーケティングの実力はもともとありませんでした。でも影響の輪にフォーカスし続けることで、できる範囲が少しずつ広がっていって、最終的にはできなかったこともできるようになりました。
つまり、こういう順番です。
- 影響の輪に集中する
- できる範囲が広がる
- かつて関心の輪だった領域が、影響の輪に入ってくる
- できなかったことができるようになる
逆に、関心の輪に注意を向け続けている限り、この階段は一段も上がりません。
一度、自分の影響の輪とは何なのか、関心の輪とは何なのかを、紙に洗い出してみてください。今の自分と照らし合わせるだけで、たぶん気が楽になります。
自分ができないこと、関心の輪に入っているものをどうにかしようとして苦しんでいる。このケースは、少なからず多いと感じています。心当たりがあるなら、この話は役立つはずです。
『7つの習慣』の7つとは何ですか?
全体像を押さえておくと理解しやすくなります。この本は内面から始めることを重視していて、依存から自立へ、自立から相互依存へ、という流れで組み立てられています。
段階 | 習慣 | 内容 |
|---|---|---|
私的成功 | 第1 | 主体的である |
私的成功 | 第2 | 終わりを思い描くことから始める |
私的成功 | 第3 | 最優先事項を優先する |
公的成功 | 第4 | Win-Winを考える |
公的成功 | 第5 | まず理解に徹し、そして理解される |
公的成功 | 第6 | シナジーを創り出す |
再新再生 | 第7 | 刃を研ぐ |
第1〜第3が私的成功、つまり自分個人の成功です。第4〜第6が公的成功で、これが揃うことで相互に成功し合う関係、お互いのWin-Winが作られていきます。そして第7の習慣で自分を成長させ続ける。
ちなみに「シナジー」「相乗効果」という言葉がビジネス用語として広まったのは、おそらくこの本の影響が大きいと思います。1+1=2ではなく、掛け算で成功していきましょう、という考え方ですね。
『7つの習慣』はどこから読むのがおすすめですか?
まずマンガ版からです。
これ、かなり本気でおすすめしています。「マンガで理解度は足りるのか」という話はあります。でも、マンガを読んでから文字の本を読んだほうが、理解力は確実に上がるんですよ。
いきなり原著から入るのは、たぶんしんどいです。私は読むことが好きなので平気ですが、読書が習慣ではない方からすると「うっ」となる分量です。
なので、マンガ→書籍の順番をおすすめします。特に今のような時代だからこそ、読む価値がある本だと思っています。
よくある質問
Q. 影響の輪と関心の輪は、どちらが大きいのですか? A. 通常は関心の輪のほうが圧倒的に大きいです。ただ、影響の輪にフォーカスし続けると影響の輪が広がり、関心の輪だった領域が影響の輪に入ってきます。
Q. 関心の輪のことを考えるのは無駄なのですか? A. 無駄とは言いません。ただ、動かせないものに時間と感情を使い続けると、動かせるものへの力が減ります。優先順位の話です。
Q. AIの情報収集をやめたほうがいいのですか? A. やめる必要はありません。「自分でできるか」「影響の輪の範囲内か」という2つのフィルターを通してから取り入れる、という運用に変えてください。
Q. 主体的であるとは、積極的に動くことですか? A. 少し違います。刺激に即反応するのではなく、反応するかどうかを自分で選ぶことです。
Q. 『7つの習慣』はどれくらい読まれている本ですか? A. フランクリン・コヴィー社の発表では、全世界で4,000万部以上、日本でも200万部以上とされています。初版は30年以上前です。
まとめ
- 大事なのは第1の習慣「主体的である」と、その中の影響の輪/関心の輪の区別
- ほとんどの人は関心の輪にあるものを気にしすぎ、心配しすぎている
- だとしたら、自分ができることにフォーカスする
- フォーカスすることで影響の輪が広がり、できなかったことができるようになる
- AI活用の情報は「自分でできるか」「影響の輪の中か」で9割以上落とせる
「確かに自分もそういうことがあったかもしれない」と思ったなら、影響の輪にフォーカスする、という選択をされてはいかがでしょうか。
このテーマはPodcastでも話しています。あわせて聴いていただけると嬉しいです。