AIから来たお客さんが「直接」に消えた1週間。数字の前に聞くべきこと

AIから来たお客さんが「直接」に消えた1週間。数字の前に聞くべきこと

10月、ChatGPTから来た訪問がアクセス解析で「直接」に紛れる不具合が海外で話題に。AI経由のお客さんを見失わないために、小さな会社が明日からできる確かめ方をまとめます。

もしあなたが、毎週アクセス解析を開いている人なら。

10月の中旬、「あれ? ChatGPTからの訪問が急に減ってる」と思った瞬間があったかもしれません。

あるいは、「直接(Direct)」の数字だけが妙に増えていて、、、なんだろう、と首をかしげたかもしれません。

そういう心当たりがあるなら、この記事は役に立つと思います。

先に言っておくと、あなたのサイトが急に嫌われたわけではない可能性が高いです。

海外で、ちょっとした騒ぎがあったんです。

海外で起きた「1週間の行方不明」

海外では、10月上旬から「ChatGPTからのアクセスが減った」という報告が相次ぎました(出典: Search Engine Journal・2026年10月)。

調べていくと、原因はお客さんが減ったことではありませんでした。

ChatGPTの回答の中にあるリンクから、「ChatGPTから来ましたよ」という目印が外れていたんです。

アクセス解析は、この目印を見て「どこから来た人か」を判断しています。目印がなければ、行き先不明の訪問として「直接」に入れるしかありません。

Adobeの担当者が、ChatGPTから人がよく来るページを数百ページ分並べて調べたところ、ChatGPTからの訪問が1日に約3万1,000件減り、同じページの「直接」が約2万6,000件増えていたそうです(出典: Search Engine Journal・2026年10月)。

つまり、お客さんは来ていた。ただ、名札が外れていただけなんです。

OpenAIはこれを不具合と認め、10月15日から修正が始まったと報じられています(出典: Search Engine Journal・2026年10月)。

ただ、すべてが元通りではありません。目印は戻りつつあるものの、「どのページから来たか」を示す情報は、今も多くの場合ついていないそうです。そして、すでに「直接」に入ってしまった過去の記録は、あとから直りません。

私が「あれ?」と思ったこと

このニュースを読んで、私が引っかかったのは不具合そのものではありません。

むしろ、こっちです。

私たちは、AIから来たお客さんを、そもそもどれくらい見えているんだろう?

今回はたまたま、海外の大きな会社がまとめてデータを見ていたので、「数字が消えた」と気づけました。

でも、日本の小さな会社で、毎週ChatGPT経由の数字を追っているところは、正直そんなに多くないと思います。

もし同じことがまた起きたら。気づかないまま、「AIからの集客は効果がないな、、、」と判断してしまうかもしれません。

それ、けっこう怖いですよね。

しかも今回の件で分かったのは、アクセス解析の数字は、AIの会社の作り方ひとつで簡単に変わる、ということです。リンクの開き方を少し変えただけで、何万件もの訪問が別の箱に移る。私たちにはコントロールできません。

これ、口コミとまったく同じ構図じゃないでしょうか

考えてみると、これは昔からある話なんです。

たとえば、近所の人の口コミで来たお客さん。

「知り合いに聞いて来ました」という人は、チラシの反応を数えても、ホームページのアクセスを見ても、どこにも出てきません。でも、確かにいる。むしろ、いちばん質のいいお客さんだったりします。

昔のお店は、どうしていたか。

レジで聞いていたんです。「今日は何を見て来られましたか?」と。

AIから来るお客さんは、この口コミにとても近いと思っています。

AIに「〇〇に強い会社ってどこ?」と聞いて、名前を教えてもらう。そのあと、検索し直して来るかもしれないし、社名を打ち込んで直接来るかもしれない。

そうなると、アクセス解析では「検索」や「直接」に見えます。AIが紹介してくれたことは、どこにも残りません。

以前、「AIの「おすすめ」は毎回変わる。20万回の調査でわかった、選ばれる会社の準備」という記事で、AIに選ばれるための準備について書きました。

今回の話は、その一歩手前です。選ばれたかどうかを、どうやって知るか。ここが抜けていると、準備をしても手応えが分かりません。

数字は「答え」ではなく「手がかり」

ここで、ひとつ定義を変えさせてください。

アクセス解析の数字は、お客さんの答えではなく、手がかりのひとつ。

数字は便利です。ただ、名札が外れれば、すぐに見え方が変わります。

だから、数字だけに頼らず、お客さん本人に聞く。これがいちばん確かです。

たとえば、こんな会社があったとします。

ホームページから問い合わせが月に何件か来る、小さな制作会社です。アクセス解析では、ChatGPTからの訪問はほとんどゼロ。なので社長は「うちはAIとは関係ない」と思っていました。

ところが、問い合わせフォームに「どこで知りましたか?」という質問を足し、選択肢に「ChatGPTなどのAIに聞いた」を入れてみた。

もしそこで、何件かでも「AIに聞いた」が出てきたら。

その社長の判断は、まったく変わりますよね。「関係ない」から「もう始まっている」に。

数字ではゼロに見えていたものが、聞いてみたら、いる。こういうことは十分ありえると思います。

明日から何をするか

やることは、4つだけです。どれも今日からできます。

1. アクセス解析に「10月8日〜15日」の注記を入れる

GA4を使っているなら、この期間に「ChatGPTの不具合」とメモを残しておきます。半年後に見返したとき、この期間の落ち込みを「AIからの集客が失敗した」と読み違えないためです。

2. 「直接」とChatGPTを並べて見る

ページごとに、「直接」とChatGPTからの訪問を並べてみてください。片方が減った週に、もう片方が増えていないか。トップページも忘れずに。名札が外れたお客さんは、だいたいそこにいます。

3. 問い合わせフォームに「どこで知りましたか?」を足す

いちばん大事なのはこれです。選択肢に「ChatGPTなどのAIに聞いた」を必ず入れます。任意回答で十分です。入力の手間はほとんど増えません。

4. 商談や電話の最初に、ひとこと聞く

「ちなみに、うちのことはどこで知ってくださったんですか?」

これだけです。昔のお店のレジと同じですね(笑)。

AIの会社が、どんな作りでリンクを出すか。それは、私たちにはコントロールできません。

ただ、お客さんに直接聞くことは、今日からできることなんです。

数字が消えても、お客さんは消えていない。そのことを確かめる手段を、自分の手元に持っておきましょう。

ー西埜巧祐

西埜巧祐

西埜巧祐

マーケティングコンサルタント/セールスコピーライター

西埜巧祐(にしのこうすけ、埼玉県出身、法政大学理工学部卒)は、日本のダイレクトレスポンスマーケティング/セールスコピーライティング/AIを活用したマーケティング・セールス・ビジネス成長の専門家。株式会社Earnestness 代表取締役。セールスライターとして約10年にわたって活動し、1,000人以上に指導。Dan Kennedy 著『売るプレゼン』監訳。著書に『AIライティングの教科書』『AI化の教科書』がある。

プロフィール全文 →

もっと深く読む

SNSでも発信しています

マーケティングの本質をさらに深く学ぶ。

無料ウェビナーに参加する →