もしあなたの会社で、AIが「裏で」動いている仕組みがあるなら。
問い合わせフォームの中身をAIが要約して、チャットに流してくれる。
お客さんのアンケートを、AIが自動で分類してくれる。
外注さんに作ってもらったツールの中で、AIが文章を下書きしてくれる。
そういう仕組みを一度作って、そのまま動かしているなら、この記事は役に立つと思います。
というのも、先週、海外でちょっと大事な発表があったんです。
AIにも「提供終了日」がある
海外では、OpenAIが2026年10月14日に、GPT-4o・GPT-4o mini・GPT-4.1・GPT-4.1 mini の一部のバージョンを、API(他のサービスからAIを呼び出す窓口)で2027年1月14日に提供終了すると発表しました(出典: OpenAI 公式「Deprecations」ページ・2026年10月)。
代わりに使うモデルとして、GPT-6 Luna が案内されています。
ここで大事なポイントがあります。
これは、あなたが普段開いている ChatGPT のアプリの話ではありません。
アプリは、OpenAIが中身を勝手に新しくしてくれます。
ですが、API で「このモデルを使う」と名前を指定して作った仕組みは、そうはいきません。
提供が終わった日から、その名前で呼び出しても、AIは返事をしなくなります。
つまり、仕組みがそこで止まるんです。
しかも、同じページを見ると、この発表は今年だけで何度も出ています。
10月1日にも、GPT-5.1 などを2027年4月1日に終了する発表がありました。
6月には、古い GPT-5 などのバージョンを2026年12月11日に終了する発表もあります。
私はここで「あれ?」と思いました。
AIの話というと、どうしても「新しいモデルが出た」という明るいニュースばかりが目に入りますよね。
でも、新しいものが出るということは、古いものがどこかで終わるということでもあるんです。
これ、新紙幣のときの券売機と同じ構図じゃないでしょうか
2024年に新しいお札が出たとき、街の券売機や自動販売機の入れ替え・改修が話題になりましたよね。
お札が変わること自体は、何年も前から決まっていました。
それでも、対応が間に合わなかったお店は、新しいお札を受け付けられない時期がありました。
AIの提供終了も、まったく同じ構図だと思います。
日付は、ちゃんと先に公開されています。
困るのは、「自分の会社のどこに、その機械があるのか」を誰も把握していないときなんです。
小さな会社ほど、ここが見えにくいと思っています。
たとえば、こんな会社があったとします。
2年前に、外注さんにお願いして、問い合わせを要約してくれる仕組みを作ってもらった。
動いているので、それ以来、誰も設定を開いていない。
API のアカウントの登録メールは、その外注さんのアドレスのまま。
この場合、提供終了のお知らせメールは、会社の誰にも届きません。
ある朝、要約が来なくなって、はじめて気づく。
しかも、なぜ止まったのか、誰にも分からない、、、
これが、いちばん起きやすい形じゃないでしょうか。
AIの道具は、作った日ではなく「終わる日」から逆算して管理するもの。
私は、これからの時代の定義をこう置いておきたいと思います。
止まる前に、どこを見ればいいのか?
難しいことはありません。
見る場所は、3つだけです。
1. AIを「裏で」呼んでいる場所を書き出す
まず、紙1枚でいいので、AIが自動で動いている場所を書き出します。
- Zapier や Make などの自動化ツール
- Googleスプレッドシートの拡張機能(Apps Script)
- 外注さんや社員が作った社内ツール
- 予約・問い合わせ・会員サイトなどに組み込まれたAI機能
ポイントは、「人がチャット画面を開いて使っているAI」は除くことです。
そちらは、提供元が自動で新しくしてくれることが多いので。
2. それぞれの「モデル名」を確認する
次に、書き出した場所ごとに、使っているモデルの名前を確認します。
自動化ツールなら、AIの手順の設定画面に「Model」という欄があるはずです。
自作のツールなら、作った人に「どのモデルの名前を指定していますか?」と聞けば分かります。
そのうえで、提供元が出している提供終了の一覧ページと見比べます。
OpenAIなら「Deprecations」というページです。
ほかの主要な提供元も、同じような一覧を公開しています。
3. お知らせが届く先を、会社のアドレスにする
最後に、API のアカウントに登録されているメールアドレスを確認します。
ここが外注さんの個人アドレスや、辞めた人のアドレスのままだと、どれだけ早く告知が出ても意味がありません。
提供終了のお知らせは、多くの場合、このアドレスに届くからです。
置き換えるときに、気をつけたいこと
モデルの名前を新しいものに書き換えれば、多くの場合は動きます。
ただ、「動く」と「同じように動く」は別なんです。
新しいモデルは、賢くなっている分、返事の長さや書き方が変わることがあります。
たとえば、「分類の結果を、決まった形で返して」と頼んでいた仕組みで、新しいモデルが丁寧に説明文まで付けてきたとします。
そうすると、その返事を受け取る次の手順が、うまく読めなくなることがあるんですよね。
なので、置き換えるときは、いきなり本番を切り替えないことをおすすめします。
過去の問い合わせやアンケートを5件ほど用意して、古いモデルと新しいモデルの両方に同じものを渡してみる。
返ってきたものを並べて、次の手順がちゃんと受け取れるかを見る。
これだけで、切り替えた翌朝に慌てることは、かなり減らせると思います。
ちなみに、外注さんにお願いしている場合は、こう聞くだけで十分です。
「この仕組みで使っているAIのモデル名と、その提供終了日を教えてください。終了日の前に、新しいモデルでの動作確認をお願いできますか?」
明日から何をするか
明日やることは、3つです。
- 紙1枚に、AIが自動で動いている場所を書き出す(10分あれば足ります)
- それぞれのモデル名を確認して、提供元の提供終了の一覧と見比べる
- API のアカウントの登録メールを、会社で受け取れるアドレスに変える
もし、2027年1月14日より前に終わるモデルが見つかったら、そのときは、上の「5件で比べる」を年内にやっておく。
それだけで十分です。
新しいモデルが出るスピードは、正直、私たちにはコントロールできません。
ただ、自分の会社のどこでAIが動いているかを知っておくことは、今日からできることなんです。