AIの「おすすめ」は毎回変わる。20万回の調査でわかった、選ばれる会社の準備

AIの「おすすめ」は毎回変わる。20万回の調査でわかった、選ばれる会社の準備

ChatGPTに「おすすめの会社は?」と聞くと、答えは毎回変わります。海外の約20万回の調査をもとに、小さな会社がAIに名前を挙げてもらうために、明日からできる準備を整理しました。

もしあなたが、ChatGPTに「この地域でおすすめの◯◯は?」と聞いてみたことがあるなら。

自分の会社が出てこなくて、ちょっとがっかりした。
あるいは、出てきたけど、もう一度聞いたら消えていた、、、

そういう経験があるなら、この記事は役に立つと思います。

最近、海外で面白い調査が出ました。
AIに「おすすめの会社」を聞いたとき、答えがどれくらい変わるのかを、20万回近く試して調べたものです。

読んでいて、私は「あれ?」と思いました。
これまで私たちがやってきた集客の常識が、そのままでは通じない部分があったからです。

同じ質問をしても、AIの答えは毎回ちがう

まず、何が分かったのかを共有させてください。

海外では、地域のお店や会社を探すときに、AIに聞く人が増えています。
米国の地域マーケティング調査会社BrightLocalの消費者調査では、ChatGPTなどの生成AIで地域の会社を探す人は45%にのぼるとされています(出典: BrightLocal、2026年)。

そのBrightLocalが、2026年9月に別の調査を出しました。
ChatGPT、GoogleのAI Mode、AI Overviewsの3つで、地域の会社を探す質問を約20万回くり返したものです(出典: BrightLocal「Local AI Visibility Study」2026年9月)。

結果は、なかなか衝撃的でした。

同じ場所で、同じ質問を、もう一度する。
それだけで、挙がる会社の顔ぶれが大きく入れ替わるんです。

調査によると、2回の答えで重なっていた会社は、平均すると2〜3割ほど。
この調査では、ChatGPTの重なりは23%でした。

そして、一度名前が出た会社でも、次に聞いたときにまた出てくるのは、おおよそ半分。

つまり、「AIに1回聞いて、うちが出た」「出なかった」で一喜一憂しても、あまり意味がないということです。

Googleマップで強い会社が、AIでも強いとは限らない

もうひとつ、私が気になったのはここです。

同じ調査で、Googleマップでは、調べた会社が66%の検索で表示されていました。
いっぽう、同じ調査でAIの3つは32〜38%にとどまっています。

Googleマップの順位対策をがんばってきた会社ほど、「AIでも当然出るだろう」と思いがちですよね。
でも、調査はそうなっていないと言っているんです。

さらに、AI同士でも答えがそろいません。
調査では、ChatGPTが挙げた会社と、Googleの2つが挙げた会社の重なりは、2割ほどでした。

これ、昔の「検索エンジンが複数あった時代」と同じ構図じゃないでしょうか。
どこか1か所で1位を取れば勝ち、という時代ではなくなった。
いくつもの窓口で、そこそこの頻度で名前が出る状態を作る。
そういう勝負に変わりつつあるんだと思います。

では、AIは何を見て会社を選んでいるのか?

ここが、いちばん知りたいところですよね。

調査では、AIが答えを作るときに参照した情報源(引用)を、約190万件分析しています。

いちばん多かったのは、会社自身のWebサイトでした。
調査の数字で、引用全体の42%です。
次がGoogleビジネスプロフィールで、同じ調査では28.6%。
そのあとに、Yelpのような口コミサイトやFacebookが続きます。

ちなみに、ChatGPTはGoogleビジネスプロフィールへの頼り方が少なく、YelpやBingの情報をより多く使う傾向があったそうです。

私はここで、少しホッとしました。

AIに選ばれるために、何か特別な裏技が必要なわけではない。
いちばん効いている材料は、自分の会社のサイトに、自分で書いた文章なんです。

以前、「Geminiに嘘つかれた話」という記事を書きました。
AIが、存在しない情報をもっともらしく答えてしまった話です。

あのときも感じたことですが、AIは「分からないところ」を推測で埋めます。
逆に言えば、ちゃんと書いてあることは、ちゃんと拾ってくれる。

だから、私たちがやるべきことは、AIに推測させないことです。
「どこで・誰に・何を・どんな形で提供しているのか」を、サイトに文章で書いておく。
これが、AIに選ばれる会社の最低条件だと思っています。

たとえば、こんな会社があったとします

具体的に考えてみましょう。

たとえば、地方都市で小さな会計事務所をやっているとします。
サイトのトップには「お客様に寄り添う会計事務所」というキャッチコピー。
サービス紹介は、「税務顧問」「記帳代行」「各種ご相談」と、項目が並んでいるだけ。

人が見れば、なんとなく雰囲気は伝わります。
でも、AIが「◯◯市で、創業したばかりの飲食店の相談に乗ってくれる会計事務所は?」と聞かれたら、どうでしょうか。

このサイトからは、◯◯市のどのあたりなのか。
飲食店に強いのか。
創業したばかりの人でも相手にしてくれるのか。
どれも読み取れません。

うーん、、、これだと、AIは名前を挙げる理由を見つけられないんですよね。

いっぽう、サービスのページにこう書いてあったらどうでしょう。

「◯◯市と周辺の市町村で、開業から3年以内の飲食店・美容室の方の記帳と税務申告をお手伝いしています。初めて確定申告をする方の相談も受けています」

地味な文章です。
でも、AIにとっては、質問とぴったり合う材料になります。

キャッチコピーをやめろ、という話ではありません。
キャッチコピーの下に、AIが読んで答えに使える「説明文」を足しておく。
それだけで、名前が挙がる可能性は変わってくると思います。

1回の順位ではなく「出てくる頻度」を見る

もうひとつ、考え方として持っておきたいことがあります。

AIの答えは毎回変わる。
だとすると、見るべき数字は「何位だったか」ではありません。
「何回聞いて、何回出てきたか」です。

海外のマーケターの間でも、同じ質問をAIに何度も投げて、自社が出る回数を記録する、というやり方が紹介されています。
たとえば、米国の業界メディアSearch Engine Journalに載った、地域の会社向けの90日計画の記事(2026年9月)でも、最初と最後にAIでの見え方を点検して比べることを勧めていました。

これ、私たちが普段やっている広告の見方と同じなんです。
広告も、1回の表示で判断しませんよね。
ある程度の回数を見て、傾向で判断する。
AIでの見え方も、同じように扱えばいいんだと思います。

ちなみに、海外ではMetaが小さな会社向けのAIエージェント「Muse」を広げると発表しました(出典: TechCrunch、2026年9月)。
お客さんの側だけでなく、会社の側でもAIが情報を集めて動く時代になっていきます。
そうなるほど、「自社のことを、読める形で書いてあるか」の差は大きくなっていくはずです。

明日から何をするか

最後に、明日からできることを書いておきます。

まず、ChatGPTに、あなたのお客さんが聞きそうな質問を1つ決めて、5回聞いてみてください。
「◯◯市で、◯◯に強い◯◯は?」のような形です。
毎回新しいチャットで聞き、出てきた会社名をメモに残します。
自社が何回出たか。代わりにどの会社が出ていたか。
それが、今のあなたの会社の「AIでの見え方」です。

次に、自社サイトのサービスのページを開いて、「どこで・誰に・何を・どんな形で」が文章で書いてあるかを確認します。
書いていなければ、3〜4行でいいので足してください。
上手な文章である必要はありません。
事実が、はっきり書いてあることが大事です。

そして、Googleビジネスプロフィールの営業時間、住所、サービス内容が、サイトと食い違っていないかを見ておく。
ChatGPTはBingの情報も使うので、Bingの店舗情報(Bing Places)に登録しているなら、そちらも同じ内容にそろえておくと安心です。

1か月たったら、同じ質問をまた5回聞いて、回数を比べてみてください。

AIが、どの会社をおすすめするか。
それ自体は、正直、私たちにはコントロールできません。
ただ、AIが読める材料を用意しておくことは、今日からできることなんです。

西埜巧祐

西埜巧祐

マーケティングコンサルタント/セールスコピーライター

西埜巧祐(にしのこうすけ、埼玉県出身、法政大学理工学部卒)は、日本のダイレクトレスポンスマーケティング/セールスコピーライティング/AIを活用したマーケティング・セールス・ビジネス成長の専門家。株式会社Earnestness 代表取締役。セールスライターとして約10年にわたって活動し、1,000人以上に指導。Dan Kennedy 著『売るプレゼン』監訳。著書に『AIライティングの教科書』『AI化の教科書』がある。

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